日本の常識とは少しばかり違う「マレーシア」では、時折「奇妙奇天烈」な質問を受けることがあります。
先日も「日本のお正月は一体いつですか?」との質問がありました。
一瞬、何んの事を尋ねられているのか迷ってしまいましたが、ここは「多民族複合社会」のマレーシア。
この国では民族や宗教によって幾つもの「お正月」があるんです。
今日(11/5)は、光のフェスティバル「Deepavali」
これにも色んな表現がされていますが、ペナンでは「デーパバリー」と呼ばれ、インド歴で第7番目の月の初日(新月)で、ヒンドゥ教徒の「お正月」に当たるんですね。
「光の祭典」などの表現もされますので、華人の「ランタンフェスティバル」のようなものかとイメージしていましたが、いささか違うようです。
今日はジャイナ教の開祖「マハーヴィーラ」が究極の「悟り」を開いた日ともされていますが、ヒンドゥー教徒は左の絵の「ラクシュミー神」をお祝いするんです。
ヒンドゥー教では「美」と「豊穣」と「幸運」を司る女神さまで、ヒンドゥー神話では「乳海攪拌」の際に誕生したとされています。
「ラクシュミー(Lakshmi)」はヒンドゥーの最高神の一人「ビシュヌ神」の妻とされ、幸運を司るため多少私みたいに「移り気」な性格とも言われています。
この女神さまは仏教にも取りこまれていて「吉祥天」と呼ばれることもあるし、「弁財天」と混同されることもあるようです。
マレーシアのHPを開くと、色んな多様性のある行事のようですが、この期間中に買い物をすると「縁起が良い」とされ、特に自動車や家電製品などの耐久消費財の消費が急激に伸びるようです。
そういえば、ペナンのリトル・インディアでも、先々週から「デーパバリー」に向けた大売り出しが行われていました。
この祝賀行事は「宗教的意味合」も強いようですが、家族が集まり「絆」を強くする性格もあるようです。
ヒンドゥ教徒の家庭では、こん風にヒンドゥー独特の化粧をして「新しい服」を身にまとい、花火を打ち上げたり「ラクシュミー神」にお灯明を捧げたりした後、家族で豪華な食事をして新年をお祝いするのだそうです。
先日から、コンドのエレベーター・ホールにも、こんな飾り付けが施されています。
近づいて観るとこんな感じ・・・
お祝いのシール横には素敵な「メッセージカード」も貼られています。
夕べはコンド横のヒンドゥー・テンプルやヒンドゥーカンポンから沢山の花火が打ち上げられました。
ロングステイの「Y」さんも「夕べは一晩中大騒ぎで寝られやしない」と不満顔でしたが「チャイニィーズのバカ騒ぎよりは少しはマシか」と諦め顔です。
ペナンはまだ、夕暮れ時なんですが、窓の外では日暮れを待ちきれないのか、もう花火が打ち上げ始められましたよ。
部屋の前のインド人のお宅も、シンガポールに働きに行っている長男夫婦を迎え家族団らんの様子で、玄関前には米の粉で「吉祥模様」も描かれています。
デーパバリーのことを「光の祭典」などとも表現するので、私はてっきりこんな風に街中をイルミネーションで飾り付けるのかと思っていました。
しかし、通りやヒンドゥー・カンポンを探し廻ってもこんな光景を見つけられないので、ヒンドゥーの多いビーチに行ってみました。
流石に「デーパバリー」とあってヒンドゥー教徒は少なかったんですが、ビーチボーイの「バスカラン」を見つけて聞いてみました。
早速「デーバパリーの飾り付けは何処で見られるの?」と尋ねても、答えは「はぁ~?」という感じ・・・
改めて「デーパバリーではイルミネーションをするんじゃないの?」と問い返すと、「ペナンではそんな飾り付けは何処にもない」とのこと・・・?!
やっぱり、ヒンドゥー教徒はそれぞれの家庭で親子水入らずで新年を祝うのが真相のようです。
こんな日に働いていることを不思議に思って質問すると「うちはまだ子供も小さいし、こんな時こそ働かないと・・・」と言ってましたが・・・
そうなんです、マレーシアではそれぞれの「お正月」は休日になるんです。
今日から3日間はナショナルデーなので、ビーチはローカル達でいつもより賑わっていましたね。
さてこの次は12月中旬、ムスリムの「ハリラヤ・ハジ」に続き年末にはクリスチャンの「クリスマス」
太陽暦上の新年には特段の行事もなく、1月末にはヒンドゥーの奇祭「タイプーサム」です。
これが終わると2月にはチャイニィーズの「旧正月」が華々しく始まります。
何かしら、一年中行事の絶えないペナン島ですが「日本のお正月はいつ?」という質問には本当にビックリしました。